2020年コロナの直撃により沖縄の観光客は激減し、私たちのような製造業は、壊滅的なダメージを受けました。
輸入も制限され、瀕死の状態に陥った私たちは「ものづくりを自らの手に取り戻す」ため、行動に移しました。
「100%沖縄県産服」の取り組みは、新たな雇用創出や産業創出へ繋がる取り組みとの評価を受け、助成金の採択を得られました。
生地からつくる理想の服を目指して、2021年に導入したのは「服の3Dプリンター」とも言えるホールガーメント(無縫製編み機)です。
そのホールガーメント機を用いて、既に販売実績と2014年グッドデザイン賞受賞歴のあるカラビサソックスの内製化を成し遂げ、更に和紙糸を使ったペーパーガーメントに取り組み、短期間で製品化に成功しました。
和紙糸は沖縄の芭蕉布と共通のマニラ麻・アバカ類の原料を使用していて、綿に比べて約2倍の吸湿速乾性がある高機能天然素材で、日本の高い技術によって作られた魅力ある素材ですが、まだまだ広く知られていません。
その理由の一つとして、編みにくさがあります。伸縮性に乏しく乾燥に弱いため、生産時に糸が切れてしまいやすいのです。そのため、精密な機械へのダメージリスクが高く、コストも跳ね上がるため和紙糸製品は希少なのです。
我々は理想を形にする強い想いとチャレンジ精神で、試行錯誤を繰り返し、1年の研究期間を経て、23年にSHIMAKOROMO Lab.:島衣ラボとして、沖縄のペーパーガーメントを誕生させました。
その後、より糸や製造の知見が深まることによって、知ることとなるのですが、島衣ラボが和紙糸をふんだんに使って、ふっくらとリッチに編み上げることが出来たのは、沖縄の湿潤な環境が味方していたからだったのです。
そうして私たちは「ものづくりを自らの手に取り戻した」だけでなく、偶然性も味方につけて、大きく成長しています。
土地の風土から生まれたものは、その風土に寄り添い、無理なく無駄なく作られ、そして永く使うことができる。そんな地産の価値観を体現し生まれたのが、SHIMAKOROMO Lab.:島衣ラボのペーパーガーメントです。